Kanon投稿
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Kanon投稿入選作 2009年12月25日
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大賞 |
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| 『冬眠』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)広島県・たまこ |
『冬眠』いつからだろう |
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詩「冬眠」の作者は、若い。これからほんとうの人生に出逢うのです。でもこころは眠りだしたという。涙が出なくなった、痛みを感じなくなった…。それが心の冬眠だとポツリ、ポツリと詩にされました。 |
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特選 |
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| 指先のケチャップ甘し秋時雨 | (俳句)岩手県・ゆりぽん |
| 指先のケチャップの色が温かく明るい。秋の時雨が来るたびに、木の葉が色づき、豊かな稔りの季(とき)が深まる。そして食欲の秋でもある。さらりと「甘い」と言ってのけたところが上手に出来ましたね。発句の指先が効果的に働いて、健康的な肉感が秋時雨とよく呼応しました。気の効いた表現といえるでしょう。 | |
特選 |
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| 小石にも躓く足を撫ぜてやる | (川柳)大阪府・阪井みつる |
| 加齢とともに四肢の動きがままならなくなってくる自分自身と、こんな風にいたわれる作者の自愛心。『撫でてやる』と、苦笑いしながらも頑張って体を支えてくれた足に感謝するゆとりをもてる作者は、まだまだ心がやわらかいのですね。川柳ならではの、ゆるやかな表現に、知性を感じます。『小石にも』の『も』が決め手です。 | |
特選 |
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| 菰まきを松の胴へとする庭師同士のような腹巻つけて | (短歌)京都府・麻倉遥 |
| 庭師といわれる仕事人は、植物や石などを人に向き合う以上の気配りやら、心通いをすると聞いたことがあります。まさに松の樹に菰巻きをする時の庭師さんの腹巻を見て作者の感得したもの。それは同志…という思いだったのでしょう。この先入観がとても個性的でよかった。貴方ならではの表現となりましたね。 | |
佳作 |
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| 冬が来る前に老母の針達者 | (川柳)三重県・大川 勲 |
| 針達者…死語にしたくない言葉である。針供養、針塚等々。古くから女達は家族のため寒さしのぎの衣を一針ずつ綴った。老母にはその名残りがあるのです。なつかしく、心なごむすてきな川柳に拍手を送りたい。 | |
佳作 |
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| 村の子の落葉に転(まろ)ぶ日和かな | (俳句)東京都・古賀一弘 |
| 森林浴、落葉浴など、この頃は自然を積極的に活かそうという風潮があり、里山のある村落の秋のにぎわいが目に浮かぶ。『転ぶ』…まろぶはころげまわるの意だが、落葉とたわむれる日和の中の子は自然の中の天候であった。 | |
佳作 |
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| 青白く電車の窓に浮ぶ顔吾の見知らぬ吾の顔らし | (短歌)東京都・明け烏 |
| 夜の電車内で見る自分の顔、青白く照らされ窓にうつるのは、自分なのだが、まるで別人のように見える。疲れきっているのか、不安なのか、不満か。自分では見たことのない表情を発見したときの貴方の驚きが現代の短歌になった。 | |
佳作 |
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| 極月や答えはいまだ見つからず | (俳句)愛知県・西谷清志 |
| ずい分長い間悩まれたのでしょう。見つからない答えはなんでしょうか。時間は容赦なく前へと流れ、はや極まったのに、まだ結論が出ないもどかしさ。40歳はまだ惑いの年齢なのですかね。俳句の短さが効果的でしたよ。 | |
佳作 |
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| 無一物老いの仕度はこの笑顔 | (川柳)大阪府・鈍牛 |
| うーん、なかなかの表現です! 老い仕度に笑顔というのが佳い。老いるとは捨ててゆくことと話す人もおります。でも無一物ではないのです。生きてきた輝かしい過去の思い出や存在した事実を、すてきな笑顔に残しましょう。 | |
佳作 |
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| やわらかく落ち葉降りけり道祖神 | (俳句)奈良県・小文 |
| 何とやさしい、なつかしい風景! 初句の『やわらかく』がいい! 道祖神はなぜか二体が多い。落ち葉がふりそそぐ…そんな秋の風景には、日本的な情調があふれ、美しい。心安らぐ情景の切りとりは名詞止めで締まりました。 | |
佳作 |
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| 願いごと互いに書いて見せ合った遠い思い出七夕祭り | (短歌)神奈川県・素人 |
| 定年も過ぎ、ふと回顧することが多くなる。ああ、七夕の宵には願いごとを書いて笹につるしたっけ。見せ合った友人、もしかして淡い初恋? などなど、読者の連想を引き出してくれる。素直なてらいのない一首でした。 | |
佳作 |
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| ボーナスを仕分ける妻の笑いじわ | (川柳)神奈川県・夢見堂 |
| 今年の用語として“仕分けする”もノミネートされたようです。個人の予算配分もまた仕分けしてみる必要があったのでしょう。『妻の笑いじわ』が妙に効果的でした。いかにも今の川柳らしい一句となり、佳作です。 | |
佳作 |
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| 信濃路の古寺で会いし若き僧雪つりをする顔に汗して | (短歌)東京都・久保親二 |
| 若い僧侶が寺庭の松にでも雪つりの縄をかけていたのでしょうか。若々しい動作のなかで額の汗が光って見えたのでしょう。冬を前の準備がしゅくしゅくと行われる古寺の静かなしつらえの美しさ…。絵になりました。 | |
佳作 |
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| 『ゆりかご』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)滋賀県・永里祐子 |
『ゆりかご』山からの風が ふわりと |
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| ゆりかごは湖でした。たくさんの過ぎ去った時の彩りや物語を底に沈めて…。とてもていねいに、ゆっくりと湖の季節と時間を綴る作者の豊かな感情を、やわらかな感性が揺らす湖のゆりかご。春夏秋冬の夢物語をつかめる表現もあり…かな? | |
投稿された方々の男女別はほぼ同数くらいです。年齢的に見ると20代から70代までの幅があり、歌材はそれぞれの年代の時代感覚が正直に表れていて、面白い。当然ながら人間の感性、感情、関心事その他、私達は、常に生きて流れて止まることのない時代の影響から逃れられないのです。ただひとりひとりの顔、表情はあくまでも自己です。その自己が真っ正直に言葉に映されたとき、自分の分身としての表現が立ち上がり、すてきになります。
1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。『歌と観照』選者、『きびたき』選者、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。著書:歌集『天の鈴』『里の木ものがたり』『日待ち月待ち』『愛しきものの詩』他、古典随想集『今も昔も』他。