Kanon投稿
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Kanon投稿入選作 2009年6月25日
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大賞 |
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| 緑風を捲いて少女の逆上がり | (俳句)東京都・秋音 |
| あざやかな緑の中で、まるで絵のように回転する動的な一句です。中句の『捲いて』が緑色のイメージを動かし、うずまきとなり、少女は明るく逆上がりする。円運動は宇宙空間からのメッセージなのでしょうか。若葉風の匂やかさ・青春のはにかみ・希望そして前進を思わせて、実に快く・やさしく・さわやかな表現となっております。17文字が大きな輪を広げ、読者の心をそれこそ捲き込んでゆくスケールの大きな一句となりました。拍手です。 | |
特選 |
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| 影つくる青葉はたっぷり陽を浴びて | (川柳)東京都・夢久乃音 |
| 夢久乃音さん、『影つくる青葉は』『たっぷり陽を浴びて』句またがりの2分節感、佳かったね。影をつくれるほどに繁った青葉…それは太陽の光を浴び、充分に光合成のゆきとどいた健康な葉群(はむら)なのです。光を浴びたからこそ、この濃い影が心地良い木下の影なのでしょう。ここに気がついた貴方はすごい。川柳のひねりの効果が上質でした。 | |
特選 |
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| 葉桜の下を行き交う少女らのセーラー服を木漏れ日流る | (短歌)東京都・林 由実 |
| 短歌に登場したのは少女らの群なのです。明るい葉桜の季節の中を行き交う少女に降る今日の木漏れ日は“流れ”となりました。まるで夢幻のようなイメージで、少女らの時間が、ゆらゆらと漂う。『セーラー服を』が少女らの年齢を限定し、美しく去ってゆく若い時の名残りを思わせる。短歌の叙情性を生かし、お手柄です。 | |
特選 |
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| 『無題』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)京都府・伊三 |
『無題』窓ガラスの向こうとこちら |
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『窓ガラスの向こうとこちら』は10行の詩。4行目の『時は五月 時間は三時』の限定が作者に詩の軸を決めさせたのでしょう。病院という限られた空間を区切る窓ガラス。内と外の明と暗。『眠い目を擦り病院のひがなベットに横たわる』のフレーズだけで、作者の位置がわかる。『若葉燦々と』『日は燦々と』の眩しい表現が意外に効果的でした。 |
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佳作 |
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| 針穴の光に希望湧いてくる | (川柳)三重県・大川 勲 |
| 糸でも通そうとされた時でしょうか? 針の穴から細い光を見たのは…。ああ、光はこんな小さなところからも入ってくるんだなあ。作者71歳。人生への向き合い方の繊細さ、つつしみ深さ。感動をもって観照しました。 | |
佳作 |
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| 昼下がりあなたの白いYシャツをバンビ模様にかえる木漏れ日 | (短歌)京都府・麻倉遥 |
| 『バンビ模様』とは、なかなかシャレた木漏れ日の修辞と思います。白いYシャツの明るさで、昼下がりのゆったりした時間帯の中の若い二人は絵になりますね。“小鹿のバンビはかわいいね”童謡などのハミングも聞こえて来そう。 | |
佳作 |
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| 夏川や心も洗ってくれますか | (俳句)愛知県・西谷清志 |
| いやあ、なかなかすっきりした一句です。ストレートな感じがとてもいい。『夏川や』は呼びかけのようで結句の『くれますか』にうまく呼応しています。洗いたい心…誰でも持っている暗い部分をちょっとのぞかせて、奥行が出た。 | |
佳作 |
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| 『ぼくが、もし・・・』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)神奈川県・ミチタリル |
『ぼくが、もし・・・』もしも ぼくが |
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| 『もしも ぼくが陽だまりだったら…』この仮定の面白さ・自然観の素直さが佳かったですね。貴方は充分に思索的な方だと私は思いました。詩は、現実・非現実のはざまにゆれ立つかげろうのようなもの。これからも佳い詩を…。 | |
佳作 |
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| 「医院」とふ看板朽ちて柿若葉 | (俳句)兵庫都・松下 弘美 |
| 柿若葉と医院の看板、それも朽ちている物。この取り合わせの妙。一読、光景が判然と浮かんでくる。季節に輝く自然界の命と、長い間の役割を終え朽ちる物と人の営為。対比があざやかな分、哀れも深い。 | |
佳作 |
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| 仰ぎ見た浅緑から光の矢射られて気づく幹の漆黒 | (短歌)兵庫県・鯖ンナ |
| 視点の面白さがありましたね。輝きの季節の中で、幹の様子は脇役であまり詠まれることはないかもね。ふと仰いだ若葉の木漏れ日を矢ととらえ、その光に見た幹のこの暗さは何だ! と気づいた作者。その時の作者は詩人。 | |
佳作 |
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| ラッシュアワー見送る木陰職がない | (川柳)北海道・足袋烏 |
| 忙しそうに人が動く・歩く・それを見ている俺は何だ! 木陰にいて、のんきそうに見えるだろうが、ラッシュアワーに入れるだけの仕事がないんだよな〜。つぶやきが聞こえてきそうな句である。切ない時代の相である。 | |
佳作 |
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| 寝たきりの妻に吹く風暖かく皐月の風よ妻を起こして | (短歌)東京都・小川晃弘 |
| 外では皐月の風が心地良く吹いているなあ。寝たきりになってしまった妻にも暖かい五月の風は吹いてくれる。この風が妻を起こしてくれないかなあ。何とも切実な、作者の本心である。すらりと詠いながらも辛い心情がわかる。 | |
佳作 |
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| 海鷲の飛び立ちし地や若葉風 | (俳句)鹿児島県・一海 |
| 作者78歳。この一句に込められた思いは深い。海鷲は荒鷲・若鷲などとも名づけられ、昭和の日本の大戦に動員された学徒達が次々にこの島国を発ちゆきました。哀惜は尽きることなく、『若葉風』には万感の思いがこもります。 | |
佳作 |
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| 『無題』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)大阪府・まっ子 |
『無題』久しぶりに行った |
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| “ばあちゃんの家”。なんだかホッとする家。その家の庭には柿の木があった。それは作者の記念樹であり、今は実がなるのだ。作者は幸せな20歳。すてきで明るい性格のままの貴方であることを祈り、エールを送ります! | |
今月のテーマ『若葉の頃〜光と影』です。面白いことに気付きました。うずまき・広がり・移動・前と後ろ・転換・流れ・溜り・時の経過・線と点、こんなことばが浮かんできます。入賞された方々の作品を観照して解った光と影の方向だったからでしょう。これらは数学的・幾何学的であり、座標上の移動なのでした。この視座はとても大切です。ことばだって科学的(人文科学というではありませんか)なのですから。
1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。『歌と観照』選者、『きびたき』選者、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。著書:歌集『天の鈴』『里の木ものがたり』『日待ち月待ち』『愛しきものの詩』他、古典随想集『今も昔も』他。