Kanon投稿
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Kanon投稿入選作 2009年4月25日
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大賞 |
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| 等式の解けて揚羽の旅立ちぬ | (俳句)東京都・秋音 |
| 大賞の秋音さん、素敵な旅立ちの一句でした。おめでとう! 等式という数学の用語が何とも知的な発句で感動的です。揚羽蝶には、キアゲハ・カラスアゲハ等ありますが、いずれも大型で、ゆらりと群れないで飛ぶことが多いのです。食する木の葉も、柑橘類や山椒などに限られ、羽化の姿・形、いずれも“旅立ち”への解答は際立ってドラマティックな蝶です。〈山国の蝶を荒しと思はずや〉高浜虚子の揚羽の句を思い出しました。 | |
特選 |
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| 「おさまりすぎで面白くない踊りね」 と言われた日 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる |
(詩)山口県・ひな |
「おさまりすぎで面白くない踊りね」
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題名もさることながら、ひなさんの裡(うち)なる気迫の特異さ…が詩となり、実にユニークな作品です。『ただ新しい、まっさらな足袋の白さが踏み出すわたしを勇気づける』のフレーズが、とてもストイックで良質の詩情の高まりを感じます。踊りという肉体表現が、いかに精神の在りようにかかわり、内的緊張をもたらすか——。みごとです。 |
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特選 |
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| ダサすぎて恥ずかしかった制服にまだ着てたいと別れを告げる | (短歌)神奈川県・ぽっちり |
| 何と率直な別れでしょう。わかりやすい表現ながら、短歌の形にきちっと従ってゆらぎがありません。『恥ずかしかった制服に』はキチンと過去形になっており、結句『別れを告げる』は現在形で、時間的経過がはっきりとわかります。口語ですが、この文脈の正確さが良いのですね。初句の『ダサすぎて』も正直で好感を持ちました。 | |
特選 |
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| 黒板に寄せ書き許す鬼教師 | (川柳)北海道・馬左史 |
| 鬼教師とは、実に川柳的な愛称です。卒業間近のホームルームの雰囲気を髣髴とさせながら温かい。中句の『寄せ書き許す』の7音の力でしょう。あゝいい教師と生徒たち…と思わず微苦笑が湧いてきますね。黒板には生徒たちのことばが、楽しく、少し寂しく、大きく、小さく書かれたことでしょう。すてきな場面の切り取りが良かった。 | |
佳作 |
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| 恋猫の生クリームのやうな声 | (俳句)兵庫県・中村 未有 |
| 春の猫。恋する季節の声を『生クリームのやうな』ととらえたところが良かった。食感のあのやわらかさ、甘やかさ…を声の調子の比喩にしたのはお手柄です。この“やうな”が恋猫をやんわりとつつみ、俳句になり得た。 | |
佳作 |
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| 新しくあなたが暮らす街のそら気になっている今朝のニュースに | (短歌)東京都・林 由実 |
| 作者の年齢から推して、子どもさんともご主人さまともとれる『あなた』ではあるが、このやわらかな“あなた”が不思議に情感につながる。『今朝のニュースに』の結句が巧まずして、優しい余情をかもし出しており、佳作です。 | |
佳作 |
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| お互いの本音を連れてフルムーン | (川柳)静岡県・五貫 |
| うーん、ここまで連れ添って人生を送られた人の本音でしょう。阿(あ)と吽(うん)の呼吸になるまでは長いですね。フルムーンの旅に幸あれ!と拍手を送ります。品の良い人生の川柳となりました。初句『お互いの』が効果的でした。 | |
佳作 |
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| 嫁ぐ娘を見送る朝や雛人形 | (俳句)埼玉県・氷川の杜 |
| 一緒に雛人形を毎年飾り見た娘と父親。作者の、何とも言い難い心の中を垣間見たような、切ない一句。中句『見送る朝や』の“や”には万感の思いがこもっています。感情があらわではない分、深い感動が伝わってまいります。 | |
佳作 |
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| 「鳥に」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)滋賀県・永里祐子 |
「鳥に」雲を突き抜け |
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| 四節目の『砂時計のガラスを破り…』の表現には、時間の発見がありました。振り返らず飛び続ける鳥に自分を重ね、作者は本当の旅立ちをされたことに気づいたのでしょうか。希望は、そのときに光となって貴方に降るのです。 | |
佳作 |
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| 旅立ちに以心伝心桜咲く | (川柳)岐阜県・ことぶき |
| 以心伝心は、仏教でいうところの言語には表せない真理を伝えるの意で、深い用語です。サラリと中句の七音に置き、旅立ちと桜の開花へ思いを通わせた作者は、巧まずして哲学的川柳を構築したのでしょう。すてきです。 | |
佳作 |
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| 朝早くカレー三杯食うキミのニキビ全開旅立ちの春 | (短歌)東京都・田村優子 |
| カレー三杯のキミはニキビ全開です。青春です。そして、巣立ちの時なのです。ここまで育ったかーという安堵感いっぱいの一首。四句まで“キミ”を描写し、結句がその全体を受けとめる名詞止めがよく効いた一首です。 | |
佳作 |
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| 旅立ちの日のはるかなり花ぐもり | (俳句)鹿児島県・かずみさん |
| 作者・78歳の分別をもって杳(とお)き日を慨嘆する日は、花ぐもりなのでした。くぐもるような五七五音の斡旋はとても巧みで、なかなかの力量を感じさせてくれます。安心させてくれる俳句らしい俳句でした。どうぞお元気で。 | |
佳作 |
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| 「ささ舟」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)秋田県・GG |
「ささ舟」峻嶺に |
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| よくことばを選んでまとめられ好感がもてます。漢詩を思わせながら、巧みに水の流れの様相を描写して、小さな世界が、春へと流されてゆくのです。漢字表現の勉強をされ、力ある作者でしょう。個性と説得力もひとつの魅力です。 | |
佳作 |
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| 旅立ちに 帰る場所ある ありがたさ | (川柳)東京都・夢久乃音 |
| まだお若い作者です。帰るところがあるから人は安心して出発できるのでしょう。故里や家族は、心の日溜りなのかもしれませんね。感謝という、素直な心をもった若人の川柳には、清々しさと、信頼のすばらしさがあった。 | |
いつも思うことですが、どの部門の作品においても、作者の個性がしっかりと表現に結びついているものが、余韻を引き出して心に残ります。今回の作品は、技巧に頼らず、すっきりと本音に迫ろうとする意欲が感じられ、一段と良い作品を拾うことができました。『旅立ち』にも、年齢、経験、風土、その他様々な切り口からこぼれてくる感動のあることを、お互いに学び合える“この場”を大いに活用していただけたら…と思っております。
1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。『歌と観照』選者、『きびたき』選者、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。著書:歌集『天の鈴』『里の木ものがたり』『日待ち月待ち』『愛しきものの詩』他、古典随想集『今も昔も』他。