Kanon投稿
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Kanon投稿入選作 2009年3月25日
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大賞 |
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| 父を看る妻の背中に手をあわせ | (川柳)東京都・小川晃弘 |
| 小川さんの川柳には、切ないほどのメッセージがありました。胸にしみました。妻・主婦・母親など、暮らしの中の役割に加え、老齢の義父上様の看護を頑張ってくださる奥様に、心から感謝しておいでの作者のこころが、ストレートに伝わって参ります。『妻の背中に手をあわせ』と詠みながら、心のなかで涙ぐみ、本当の伴侶でいてくれる奥様を一層いとおしむ思いの作者の姿が見えて参りました。すてきなご夫婦です。 | |
特選 |
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| 故郷を終(つい)の地として行く友に渡せし我のメールアドレス | (短歌)東京都・久保親二 |
| 何ともいえぬ味のある一首です。ふるさとに帰って老後を送ると判断された友人と久保田さんの間にある言外の思いが伝わります。でも、そのお友達には、ふるさとがあった…。せめてメールでもし合いたい。人生の別れ道に立たされたときのひとコマをつなぐメールアドレスでしたね。『友に渡せし』は“友に渡しぬ”と終止形にすると一層余韻が出ます。 | |
特選 |
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| 地平線まで伸び行けや君の春 | (俳句)兵庫県・松下弘美 |
| 松下さん、とても伸びやかな作品ですね。『君の春』は『地平線まで』と広がってゆく期待感が、素直で好感が持てます。実景はどうであれ、心情の吐露のイメージ化に成功した一句です。私の心も一緒に弾みました。 | |
特選 |
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| 「夕暮れ」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)神奈川県・武重路子 |
「夕暮れ」朱色の大きな陽が沈んでいく |
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サーファーの夕暮れですね。人間も海から生まれたという太古からの進化の形が、しずくを滴らせながら見えてきました。不思議な時空を感じさせてくれます。『シルエットになったたくさんの群れ』がそのキーワードとして機能して、短詩型の良さが十分に出ており、おおらかなイメージとなりました。 |
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佳作 |
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| 愛してるという口まね風光る | (俳句)奈良県・望菜 |
| 初々しい気分が伝わって…佳作です。音のない口の形だけの意思表示が面白かった。結句の『風光る』の季語がうまくはまって、一気に、明るく、気分も季語も動くのですね。若い作者の未来に幸あれ! | |
佳作 |
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| 一輪のバラが食卓で勇気づけ | (川柳)大阪府・日野江美 |
| 一輪のバラは、何色だったのでしょう。きっと明るい希望色だったのかな? 花はことばのない言葉を発するらしい。食卓に飾っておく、それだけでも勇気付けられる。そんなつつましさが作者の人柄を思わせてくれる。 | |
佳作 |
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| 「伝う」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)秋田県・GG |
「伝う」風伝え 雲伝え 空伝え 土伝え 胸伝い |
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| 風伝え、雲伝え、空伝え、土伝え…これらはすべて貴方の香り、面影、逢える時、足音を伝える。そして作者の胸に伝わる喜びはことばで伝えられない。なんとピュアな発想か。詩の良さが十分に生かされて、素敵。 | |
佳作 |
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| 私という木から舞い散る言の葉は尖っていたり丸まってたり | (短歌)徳島県・あいらむ |
| あいらむさん、貴方は『木』だったのですね。このなぞらえは良かった。言の葉は古く“ことのは”で言葉のこと。上3句の『言の葉は』を『言の葉よ』としたら下句が一層鮮明なイメージとなるでしょう。面白い発想の下句でしたね。 | |
佳作 |
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| 日脚伸ぶ即ち傷の癒ゆるらむ | (俳句)福岡県・紙田幻草 |
| 紙田さん、『即ち』は発見でした! やわらかな表現のうらにひそむ、この癒しのメッセージは確かなものでした。『日脚伸ぶ』という季節への期待の明るさが、傷(ここでは心?か)も少しゆるゆるとほぐすだろう、という優しさ。 | |
佳作 |
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| それだけがすべてじゃないってこともあるへこんだ時は旅に出てみる | (短歌)佐賀県・古賀由美子 |
| 『それだけが』と軽く切り返した初句がいい。気分を変えれば、また元気になれる。心を切り替えて前に進める…と、“旅のすすめ”をさりげなく、なんでもなさそうに詠じたところが上手であった。下7句の『へこんだ時』が良い。 | |
佳作 |
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| 童心の母のいやいや雛祭 | (俳句)福岡県・老司たか志 |
| 施設におられる母上様への一句。童心に戻られてなんと愛らしい“いやいや”をする母か。会いに行く作者の心の複雑さと安堵の思いなどを『雛祭』の結句が受け止めて、味わい深い趣となった。お大事に…。 | |
佳作 |
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| 教室の外向く君の居場所アリ | (川柳)神奈川県・美月 |
| うーん。『君の居場所アリ』…か。いいですね。川柳の社会的というか、人間的というか、その目線の良さのある一句でした。子どもの心の居場所を、大切にしてあげられる教育環境への一矢…は、言いすぎかな? | |
佳作 |
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| 病室に年越しをする友のため初日の出付き写メール送る | (短歌)東京都・林 由実 |
| 病院で年を越すという特別な体験の友人に、よくぞ『初日の出付き』の写メールを送ってくださった。どんなに嬉しかったことか。友人の声が聞こえてくるよう——。一見すんなりと表現されてはいるが、内容の重さが伝わる。 | |
佳作 |
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| 「まる」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)鹿児島県・ともみつ |
「まる」世界はまるい どこかへ行けば どこへ行っても だから気づく 世界はまるい 君が望めば 独りで丸くならないように 君の孤独を |
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| 『まる』の題名は面白い。詩の終わりの『君の孤独を 独りにしないよう 世界は丸く出来ている』のフレーズと『独りで丸くならないように』のことばは、すてきな示唆。こんなことばを送れた君に拍手したいと思う。 | |
今回のテーマは観念的でなかったせいか、わかりやすく、身近に引きつけた作品が多く、詩情の原点を見せてもらいました。気負わないで自分の心に向き合うことが、感情表現の入口。その入口を入って、どの山を目指すのか、川に沿ってゆくか、空に飛んでゆくか、いずれにしても道具が必要です。その道具がことばです。縄・靴・釣り道具・手ぬぐいなど、色々な小道具の代わりに『詩嚢』(詩想をゆたかにする表現語の蓄え)を持ち、大きくしていくことが大切なことになりましょう。
1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。『歌と観照』選者、『きびたき』選者、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。著書:歌集『天の鈴』『里の木ものがたり』『日待ち月待ち』『愛しきものの詩』他、古典随想集『今も昔も』他。