Home > Kanon投稿 > Kanon投稿優秀作

Kanon投稿

 

Kanon投稿優秀作 2008年7月20日 第24回

毎月、『Kanon』編集部がWEB投稿作品の中から選んだ作品を、
『Kanon』お勧め作品としてHP上で発表いたします。
大賞1名 特選3名 佳作10名には、『Kanon』編集部からステキなプレゼントをご用意しております。

大賞
子の笑顔乾いた夫婦慈雨となる
川柳 大阪府 雨井風太

特選
「屋上」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる

「屋上」

傘を忘れた午後
屋上は風が強くて
笑い声の嘘も
譜面の中に消える

日食を待つ間
乳房の指紋を数えて
糸電話からおとぎ話が
聞こえたふりをする

見下ろした草むらに冷蔵庫が一つ
誰かが青いクレヨンで
落書きを描いた

公園の砂場を掘り続ける子ども
埋めた舟を探して
旅に出かけた

ふいに触れられた髪に
めまいがして私は

目を閉じて
踊り場で
10まで数えた

詩 千葉県 黒尾博樹

特選
ササユリは薄色見せて揺るるなり 雨にみ熊野祓所王子
短歌 東京都 岡崎美代子

特選
雨上がり棟梁のこえ小気味よく木の香かんばし急ぐ槌音
短歌 福岡県 大炊かもん

佳作
無題 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる


私が泣いたのは、空が赤かったからだ
空が赤かったからだ

雨なら健やかに、なんでもない顔をして、さよならと言えたのだ
晴れていたらどうだっただろう
それでも色が青かったなら、私は泣かなかった
私は泣かなかった

朝ならたぶん会うことさえしなかっただろう
夜なら、闇に紛れて、それで終われた
昼は空が青いから、雨が降るから、雲が日を隠すから、雪が降るから、
だから、きっと大丈夫だった
けれど空の色は赤かった
赤かったから、私は泣いてしまった

たったそれだけだ
空が赤かったから、私は泣いたのだ
本当にそれだけだ
ほかに理由なんてない、ない、ない
私が泣いてしまったのは、空が赤かったからだ
青でも黄でもグレーでも緑でもなく、
空が赤かったからだ 空が赤かったからだ 空が赤かったからだ

詩 長野県 安部ゆきこ

佳作
『夏の足音』 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる

『夏の足音』


降りしきる
水無月の甘雨は
馨しき土の匂(かほ)りを湧き立たせ

人肌に馴染んだ そよ風も
タチアオイの香(かざ)を 心地よく
辺りに靡かせている

夏鳥の群れが
潤んだ羽衣を 南風で濯ぎ
森羅のかげろいで 旅立ちを目論む頃

僕らは
夏の訪れが傍(ちか)いことを悟(し)る

詩 神奈川県 ミチタリル

佳作
梅雨の労 キロ当たり売る 青果店
川柳 兵庫県 鯖ンナ

佳作
紫陽花の 濡れて色づく ネオン街
川柳 和歌山県 らくゆう

佳作
いつまでか梅雨もわからぬ温暖化
川柳 東京都 カブ

佳作
空いろのブラウス縫って図書館へあじさい咲く道自転車に乗り
短歌 新潟県 三浦ユリコ

佳作
雨音が国の訛りに聞こえ来て歩を止めて聴く雑踏の街
短歌 東京都 久保親二

佳作
あじさいも 小首かしげる 雨の朝
俳句 岐阜県 ことぶき

佳作
留守電にこもる声あり梅雨の入り
俳句 東京都 カラス

佳作
尾根ごとに 湯煙けぶる 蝦夷の梅雨
俳句 北海道 岡崎佑哉